◆花屋まるよし取材こぼれ話

 

花屋まるよしの取材こぼれ話です。

 


 

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◇お二人の出会いは?

ご主人が12年間修行した花屋さんの先輩だった奥様。

 

初めての仕事でご主人は配達を頼まれたそうなのですが、「最初はついて行けばいいだろう」と思っていたのに、奥様は助手席に座っていたそうです。奥様曰く「自分で運転した方が覚えるかなあと思って」ご主人曰く「道を教えるのが下手だなあこの人」と、お二人の様子が目に浮かぶような出会いのお話でした。

 

告白したのは少し年下のご主人からだとか。

 

新車購入のローンで「お金がないお金がない」と言ってたご主人に、お付き合いOKの返事をする際、「言っとくけど、私お金ないからね!」と宣言したという奥様です(笑)。


二人ともお酒が好きでお店の仲間と皆で楽しく飲んでいたそうです。二人で一緒にいて楽しかった。ご主人は出かけるのが好きじゃないけれど、それでも平気な関係で、とても楽だし、合っていると思う。というありのままでOKなお二人。

 

仕事も家庭も24時間一緒にいて、喧嘩にならないですか?と訊ねると、喧嘩するとお互い口を聞かなくなるのだけれど、お店のお客さんと話している時にお互い口を聞かない訳にもいかず、自然に話し始めてしまい、喧嘩は長続きしないそうです。

 


◇祖父母の影響

ご主人の母方の祖母の影響はとても大きいそうです。

 

お花の先生とお茶の先生で、2階に茶室があるような家に住んでいた人。「一人で入ってはいけない」と子供の頃から言われ続けていたご主人。何度も茶室に入ろうと試みでは叱られ、祖母と一緒なら…とお許しが出てようやく入らせてもらったという思い出があります。


『雑草という花はない』というように祖母は心に残る名言の多い人でした。

 

花屋に入りたてで何も習ってない頃、正月に親戚が集まった時に、花屋から持って帰った花を生けたことがあるそうです。祖母から「何を持って帰ってきたの?」と聞かれ花の種類を伝えたら、「何をしん(真)に生けたの?」と聞かれたそうです。「竹」と答えたら「よし!」と一言だけ言われたのが、何か認めてもらったようで嬉しかったというご主人。

 

「わからない花が出てきたら、必ず深大寺植物園に見に行ってた」「植物図鑑には見つけた場所や説明のメモがびっしり書き込まれていた」という祖母は、お花だけではなく食べ物にも詳しかったといいます。

 

祖父は娘達に「あなたたちは、結婚した旦那さんに可愛がってもらいなさい」と言って娘ではなく妻である祖母を溺愛していたそうで、有名なお店に祖母を連れて行っては味を覚えさせて食卓を賑わせるような人でした。この祖父も『男は貯蓄する時がきたらわかるから、それまでは貯蓄するような生き方をするな』と心に残る言葉を伝えてくれた人だったといいます。

なぜ祖母が好きだったか。

ご主人には親戚が沢山いるのですが、優秀な人が多い家系で、自分だけ異端児のように感じていたそうです。ところが祖母だけは自分にプレッシャーを与えないし、話していてもピリピリしない。普通にしていられるから、家に寄り付かないときも祖母の家には通っていたというご主人。


花の仕事を選んだのは親戚の中で自分だけだったので祖母はとても喜んでくれた。花屋になったのも祖母を喜ばせたかったのかもしれないと感じるそうです。

 

 


◇走り屋さんから花屋さんへ転身したご主人

「母親が最近、店にきて親戚の昔話を教えてくれるようになった」「母親もお茶とお花をやってるからだろうけど、息子と母親なので、あまり話さない」とご主人がつぶやくと、すかさず奥様から説明が。

 

お店で奥様に対して話すのは、息子に直接話しばかりしてお嫁さんが嫌な思いをしないよう、気を使ってくれているから。それでもお店でお話されるのは、ご主人がお店の奥で聞いているからだということです。お母様にも奥様にも愛されているご主人ですね。

 

「母親が一番ショックだったのは大学に行かなかったことだと思う。親戚にそんな人はいなかったので」というご主人。

 

附属の高校に通っていたそうですが、気付くとエスカレーター式の大学に行けない状況になっていたそうです。16歳になってバイトできるのがとても嬉しかったそうで、高校時代はバイトに明け暮れていたといいます。「働いて稼いで好きなものを買う」というのが楽しくて仕方なかったご主人。

 

最初の給料で、免許も持ってないのにヘルメットを買い、原付免許を取り、原付バイクを買ってしまい、中型二輪免許は取り損ねたとか。でもバイクは走り屋さんの場合、死ぬ可能性が高いので取らない方がいいのかな…と、車を買う方へ向かったそうです。

悪いことは何もしてないけど、とにかく車が大好きな走り屋さんだったとか。世田谷の実家から相模湖の峠を攻めに通っていて、あまり家に帰らなかった学生時代。

 

卒業後は、車好きだけど本当に好きなことは仕事にしたくないと、車に近いタイヤの卸し会社に就職しました。趣味に近い分野ではあるので、すぐに仕事を覚えたそうです。


けれど重いタイヤを扱う仕事から腰を痛めてしまい、整骨院に通っていたのですが、ここで珍しいエピソードが。車高の低い車に乗って走っていたら、偶然その整骨院の先生に見つかってしまい、「こんな車にのってたらヘルニアになって死んでしまうから普通の車に乗れ!」とドクターストップがかかったというのです(笑)。

 

このように走り屋さんだったご主人でしたが、「やっぱり花屋になる」とかつての夢に再チャレンジすることになります。ドラマで見た花屋にあこがれて受けた花屋のバイト面接に2回落ちてしまった学生時代。それでも「やっぱり花屋に!」と思ったのは「祖母の喜ぶ顔が見たい」という思いがあったからでしょうか、それとも目に見えない「花屋の道」を歩んでいたからでしょうか。もっとも「花屋になる」と言った時には、家族も友達も「お前がかよ~」と驚かれるぐらい、若い時は花と無縁な生活だったそうです。

 

めでたく転職した花屋さんは、小さな店でしたが繁盛店で、手広く大きくやっていたお店だそうです。12年間勤めて動かなかった理由は、その店で全部覚えられたから。結婚式や葬儀の花からアレンジまで、桁違いの数を扱っていたといいます。


オーナーの若社長に色々なことを教えてもらい、アレンジは社長の奥様に教えてもらったそうです。最初の3年は配達だけの見習い。学校の入学式や会場などに飾る「生け込み」も、最初は花の準備だけだったけれど、ある日大きな会場で生け込みをやらせてもらい、オーナーに見てもらった。その後、渋谷女子高の生け込みに一人で行って来いといわれたのが入社5年後でした。予算と花瓶の大きさに合わせた花材選びから全て任せてもらった。この時、初めて認めてもらえたと感じたそうです。


花屋で修行を続けていた26歳の頃、一通り仕事を覚えて仕事を任されるようになり、仕入れや市場とのやり取りやコネクションもできて、「花の業界で生きて行ける」と実感したそうです。その時に「自分で花屋をやろう」と思い立ち、お金をため始めたといいます。このタイミングがきっと、祖父の名言『男は貯蓄する時がきたらわかる』という、その時だったのでしょうね。

 


◇お二人の結婚

二人でお店を始めるために、「あなたはこの店で修行してて、私は稼げる仕事をするから」と奥様は先にお花屋さんをやめたそうです。

 

奥様は姉妹で男兄弟もなく、お父様は亡くなっていてお母様が一人のため、結婚するにあたりご主人は奥様の実家に引っ越すことに決めました。(名字は変えずマスオさんとおっしゃっていました)

 

そしてめでたく結婚式を挙げたのですが、「結婚した日は覚えていない。秋だったかなあ」という、とぼけたお二人(笑)

 

何か記念になるものはなかったのですか?と聞くと、結婚指輪には書いてあるのだけれど…とお茶を濁します。よく聞いてみると、ご主人は結婚指輪はネックレスにしてたのですが、店で仕事中に落としてなくしてしまったそうです。奥様は指輪の裏を見ればわかるのだけど、「まあいいか」と見ないそう(笑)。

 

ご主人は、「結婚記念日に花束買いに来る旦那さんをいつも尊敬してしまうんですよ!」と話していらっしゃいました。お花屋さんなので記念日と切り離せない仕事なのですが、このお二人はご自分達の記念日には全く興味がないそうで、そういう所でもとても気が合っているということです。

 

そんなお二人も、一度だけ記念日で喧嘩になったことがあるそう。

 

新婚時代、ご主人の最初の誕生日前日に「明日は何の日か知ってるよね?」とご主人が聞くと、奥様は何の日か全く思い浮かばなかったようで、めげずにご主人が翌朝「今日は何の日か知ってる?」と聞くと、「しつこいなあ!」と奥様が逆切れしたそうです。

 

ご主人は誕生日を忘れらていたことよりも、逆切れされたことに怒って、「何だこのやろう!やる気か~?」とファイティングポーズになったとか(笑)


とにかく記念日とかプレゼントは二人とも気にしないから合ってるということです。二人で付き合ってる時の写真もほとんどなく、記念に残ることに拘らない人種で一致しているといいます。


奥様は完全に天然系タイプだそうで、結婚式の引き出物に書くご主人の名前とイニシャルを間違えていて、「これは誰の名前だろう?」と眺めていたら自分の名前だとわかりびっくりしたというご主人。

そんなこんなもあまり深く考えず、「ま、いっか!」と思うのが、ありのままでOKなお二人の素敵な所だと感じました。

 


◇奥様は花好き天然系

奥様は子供の頃、園芸農家に入り浸っていたそうです。

 

ハウスでシクラメンなどお花を作っている園芸農家のお兄さんが親切な人で、畑であそぶ子供たちを居座らせてくれたそうです。邪魔しているはずなのに、子供たちにお手伝いさせてくれて、「芝桜の苗を持って帰っていいよ」と持たせてくれたり。空き地を耕して、苗やジャガイモを植えるなど、土いじりが大好きだった奥様。

 

お花の色も好きで、学校の帰り道に、アジサイの色々な花を一つづつ集めて帰ったり。色んな色を集めたり、道端の花を観察するのが好きなところは、お二人の息子さん(小学生)に受け継がれているようです。親子三人で歩いていて、ふと気づくとご主人一人で歩いていることがあるそう。奥様と息子さんは途中で見つけた野の花を見るため、立ち止まってしゃがんでいることが多いようです。

 

奥さんは「純粋に花が好き」な人。「ほんとに花好きだもんな~」この人には「花屋の道はない」「花の道はある」と言い切るご主人。

そんな奥様は完全に天然系だそうです。

奥様の祖母が亡くなった時、夏場ドライアイスで冷やしていたのに、夜中にクーラーと間違えて暖房をつけてしまったり。

笑えることも多いけど、笑えないこともあるので、ご主人が後ろからついてまわってチェックしてまわっているといいます。

 

それでも二人揃って、けっこう気づかないので、
お店の花のプレートに「すみませんが」と書くところを「みすませんが」と書いていて、お客様に「気持ちは分かるけど」と笑われたり。


お金を扱うときは笑えないこともあるそうです。

 

息子さんと3人で駅を歩いてたらアナウンスで呼ばれて走り去った奥様。聞き出すと「1万円で切符を買ってお釣りを全部置いてきちゃった」そう。銀行から帰ってきて、「あれ?あれ?」と言いながら銀行に走って戻ることもあるようです。

 

でもこういう天然系な奥様をからかいつつも、「なおらないからねえ」と言いながら、ありのままでOKな様子のご主人に、やはり「奥様、愛されてますね~」と感じたのでした。

 


◇将来はどんなことを願っていますか?

開店から約5年。これまでは来店されるお客様の定着を重視で店売りに絞っていたそうですが、これからは、来店のお客様を大切にすることはもちろん、法人のお客様や、ネット販売など少しずつ領域を広げたいと準備中だそうです。開店時のローンも完了するため、新たな展開の時が訪れたようです。

 

お花に関する願いを訊ねると、

日々の生活に追われて、花やお節句を楽しむ余裕がなくなりつつある現在、何かをきっかけに「お花がないと寂しい」というように、ご自宅やオフィスに花を飾るのが食事をするように当たり前になれば…という素敵な願いをお持ちでした。

 

お花の業界についての願いとしては、

お花のニーズが増えることで減りつつある生産者も安定し、花屋業界全体が「発展」というより「元気」な業種になると嬉しいそうです。

 

「花や植木には、見て匂いをかいでいただくことで、気持ち和らげる力があると思います。興味のない方にも、まずは一輪もよいので、暮らしの中に花を取り込んで『花のある生活』の良さを感じていただけたらと思います。」というお二人からのメッセージでした。

 


◇インタビュー取材の所感

長い間、何となくぼんやりと「なんでだろう?」と感じていたことが「なるほど!」に変わった今回のインタビューでした。

 

「気軽だけどちょっとだけお洒落」といのは、もともと花屋まるよしのキャッチフレーズです。実際に、気軽だけど、ちょっとお洒落なお店。

 

気軽にふらっと立ち寄れて、お洒落すぎない(笑)ところが魅力なのです。お洒落でバシッと決まりすぎているお花屋さんは、ちょっと入りにくい人も多いのではないかと思うのですが、このお店は、おこづかいを握ってきた小さい子も、お仏壇に供えるお花を買う高齢者も、入りやすい雰囲気なのです。更に、単に美しく見せているお洒落さとは何か違って、雰囲気がとても心地よいのです。

 

この理由をインタビューしてみて初めて知ることができました。

 

それは「花屋の道」を歩むご主人の「良品質をお手頃な価格設定で」という心がけと、「花の道」を歩む奥様の「心のこもったお花の手入れ」にあったのです。

 

「品質へのこだわり」は、お米を例にとるとわかりやすいとのことですが、おなじバラでも産地や生産者・等級(S/M/Lのような)によって品質は大いに変わるそうです。仕入れをするご主人は、仕入れ値にこだわるよりも、出来るだけ良質のものをお手頃価格でご提供することを心がけているといいます。

 

「お店やお花の手入れ」をする奥様は、毎日の植木の並べ方や店内のディスプレイも、出来るだけお客様の目を楽しませるような、ほしくなるような、飾ってみたくなるような、手をかけた状態をと心がけているそうです。ちょっと気を抜くと生のもなので花屋はすぐに汚くなってしまうそうで、毎日熱心にお花の手入れをしていらっしゃいます。なかなかと行き届かないのが現状です…ということですが。

 

 

また、「このお店はどうして居心地が良いのだろう?」という、もう一つの疑問もあったのですが、これも謎が解けました。

 

それはお店でいつも出迎えてくださるお二人が、「ありのままでOK」な関係のお二人だからだと思います。お二人の日常生活も、こんな調子なのだろうなあと思わせる、「まあ、いいか!」という雰囲気が、とてもゆるく心地良いのです。お互いのことも、たまに気に入らないこともあるけど「まあ、いいか!」と「ありのままでOK」なことが、インタビューしてみてよくわかりました。

 

だからお店に入ったときに、「ありのままでOK」な空気に入った心地よさを感じるのだと思います。

 

そんなお二人ですが、何故だか応援したくなるものをお持ちです。ゆるい雰囲気で迎えてくださるお店の姿とは別の何かがある。そう思っていた2月半ばの寒いある日。確定申告に行った帰りに自転車で通りがかった奥様に出会いました。何でも、「医療関係施設に注文してもらえるようパンフレットを配って回っている」ということで、雪混じりの雨が降ってきた寒い中、「う~!寒い」と言いながら、自転車で走っていきました。

 

そしてインタビュー後のある日、「配ってみるもんだね!あれからちゃんと注文が来たの」「そうなんですよ!1回で終わりかなと思ったら、同じところからまた注文が入ったんですよ」「あなた、また配らなきゃね!」と夫婦で喜んでいらっしゃいました。この様子をみていると、何かもっと応援する方法はないかなあと思ってしまうのです。

 

お二人分のインタビューだったので2時間近く、三人で大笑いしながらお店でお話を伺っていたのですが、その間中、本当に色々なお客様がいらっしゃいました。冠婚葬祭や記念日、日常のお花・・・色々な状況のお客様と言葉を交わしながら手早く仕事を進めるお二人。

 

「好きな仕事をして、お客さまが喜んでくれて、生計がなりたち、家族が元気で楽しく暮らせればうれしいです。」というお二人の人生の願いも、「好きな仕事を基盤に、家族が楽しく暮らせれば十分といった感じです。」という、ごく自然な「ありのままでOK」な空気感は、どこかほっとさせられるものがあるなあと感じた、今回のインタビューでした。

 



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