観音の力
坂村真民の詩に「力」という力強い詩があります。
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◆力
生きていく力
詩を作り続けてゆく力
痛みに耐えてゆく力
弱さに打ち勝ってゆく力
世のため人のためになる力
そういう力を授け頂くために
大宇宙の生命が
一番充実し躍動している
混沌未明の刻に座し
夜明けゆく天地の力を
吸飲摂取して祈る
ああ
わたしが切に乞い願うのは
観音妙智力
念彼観音力
自在の神力
迷える羊を救う
光明功徳の威神力
どうかこの力をお与えください
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坂村真民の詩は『念ずれば花ひらく【自己変容の道】』
をご覧ください。
この「観音妙智力」という言葉は、「法華経」の観世音菩薩普門品の中の"観音妙智力 能救世間苦”という表現にあるようです。
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『救世は「人々を世の苦しみから救うこと」であり、救世だけで観音の別名ともされる。救世観音の名称の由来は「法華経」の観世音菩薩普門品の中の"観音妙智力 能救世間苦”との表現にあると推測される』(Wikipedia「救世観世音菩薩」)
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「観音妙智力」という言葉は、人びとの苦しみを救ってくれるような「観音の優れた力」と訳されています。ちなみに下記の観音経(法華経普門品)には、観音菩薩がどのような方法で苦しみから救ってくださるか意訳されています。
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『人々が困難にあい、さまざまな苦しみにさいなまれるとき、この観音の優れた力が、人々の苦しみを救ってくれる。』
(観音経(法華経普門品)「観音妙智力 能救世間苦」の訳)
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注)スマートフォンで文字化けする場合は下記を参照してください。
妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五(みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぽんだいにじゅうご) 現代語訳
は、他の翻訳ページも大変参考になります。
観音の普門示現
観音菩薩が人びとの苦しみを救う時に、人びとの性格や仏の教えを聞ける器に応じて、色々な姿で現れることを、観音の普門示現(ふもんじげん)といいます。
あらゆる人を救い、人々のあらゆる願いをかなえるという観点から、さまざまな超人間的な姿に表されることが多いとか。
この普門示現の考え方から、六観音、七観音、十五尊観音、三十三観音など多様多種な別身を派生するに至ったそうです。
観音と般若心経
高校時代に授業で習った般若心経。「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時」で始まりますが、この「観自在菩薩」が観音菩薩だとはっきり意識したのは、今の仕事を始めてからのことでした。
般若心経とは観音菩薩が得た悟りの説明文なのだと、下記内容から理解したのです。
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観自在菩薩が得た悟りとはどのようなものかが語られています。
【漢訳】
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時
照見五蘊皆空 度一切苦厄
【現代語訳】
観自在菩薩(観音菩薩)は彼岸に渡る深い智慧(無常・無我)を体得し、苦の原因となる無明を見極め、五蘊(色・受・想・行・識)のすべてが空であると看破されました。そして、いっさいの苦より解脱されました。
【参考】
『般若心経【読む・聞く・書く】』
法楽寺住職 小松庸祐/西東社
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それは高校時代にも学んだことですが、観音菩薩の慈悲に出会ってようやく、般若心経が観音菩薩の慈悲によって説明されたものだと実感できたのだと思います。
観音の慈悲
観音菩薩のあまねく宇宙に広がる力の全てを知るには、全くもって能力が不足していますが、観音の力の中でも「慈悲」の力は、私自身がたくさん受け取ってきたという思いがあります。何度も何度も、慈悲の力に助けてもらったという感謝があるのです。
ですから、できるだけ多くの方に、どうすればこの「観音の慈悲」を伝えることができるのか何年も苦心している次第です。
私自身が慈悲を実践できれば、それが一番なのでしょうが、慈悲を受けとるのが精一杯、理解しようとするのが精一杯、少し慈悲に向かって努力するのが精一杯な現状です。
でも、微力ではありますが、観音菩薩の慈悲は素晴らしいということを色々な形でお伝えしたいと思っています。
多くの方が観音菩薩の慈悲に出会うことができますように。