慈悲で怒りの心を制する


以下の紹介内容は、すべて下記より引用しています。

【参考】
『ダライ・ラマ 生き方の探求』
ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ著 /春秋社 

 

画像については、書籍の内容を参考に作成したものです。
それ以外の追加情報については、参照元を個別に記載します。

 



三十七の菩薩の実践より

自身の中にある怒りという敵を調伏しないなら 外の敵を倒しても憎しみはますます増大するばかり それゆえ、慈悲という軍隊で自身の心を征服する それが菩薩の実践である

 

 ●三十七の菩薩の実践とは?
単なる修行者としてだけでなく学僧としても名を馳せた、ギャルセー・トクメー・サンポ作の代表作です。


◆外の敵でなく内なる敵を制圧

 

自分の心相続の中にある怒りをコントロールすることができなければ、外界の敵をいくら倒しても怒りはおさまらずに、さらに増大していきます。

 

シャーンティディーヴァの『悟りへの道』でも説かれているとおりだと思われます。

 

「虚空のように(無限に)いる敵の どれほどの数を私は滅ぼすことができるであろうか ただひとつ【自分自身の中にある】怒りの心を制圧できたなら すべての敵を滅ぼすことになる」

 

このように、三千大千世界のすべての気に入らない衆生を制圧することは、まったくもって不可能ですし、それは無意味なことでしかありません。

 

一方、自分自身の中にある怒りを鎮めたなら、一切の敵をなくすことが可能なのです。この自分の怒りを鎮めることができなければ、眼の前にいる一人の敵対者を殺しても、あまり効果的ではありません。

 

眼の前の敵対者一人を殺すことにより、その結果として彼の身内の者の恨みを買うことになり、ますます敵が増えるばかりです。

 


◆「怒り」への対処法

 

「自身の心を征服する、それが菩薩の実践である」のです。

 

「濁っている泥水も、静かに落ち着かせていれば やがて泥は底に沈殿して、水も澄むものだ しかし、それを掻き混ぜてしまっては 濁りはおさまることがないのは明白である」

 

ですから、怒りを表出させることは、役立つこととはいいがたいのです。

 

怒りに対して人は反応しやすいのです。いがみ合うことで別の問題が派生してしまいます。自尊心や嫉妬心が強化されたり、競争がいっそう強くなってしまいますね。

 

つまり、怒りを表出することによって、さらに「執着」と「怒り」が強まるのです。

 

「自己を認識するという働きがある限り 他者も同時に想定される『自己』があることによって『他』が存在する このように『自己』と『他』を別のものとしてとらえる働きによって自己の側には執着が、他者に対しては怒りが生じるのである」

 

このように「執着」と「怒り」の対象が二つあります。この二つの対照(自己と他者)をより明確に分化させたなら、それに比例するように「怒り」は明確になってしまいますし、この「怒り」を表出することによって、「怒り」はより鮮明に激しくなっていきますね。

 

これは自分にとっても他者にとっても、あまり役に立つことではありません。 

 

それよりも、この「怒り」が落ち着くまで、放っておいた方がいいでしょう。そして冷静になったときを見計らって、「怒り」の原因や、なぜそのような感情に支配されたのかを論理的に考えるべきです。

 

その考えを相手に伝えることが、お互いにとって有益と思われたなら、説明する必要がありますし、また説明しても相手が納得できないようであれば、いつまでもそのことにこだわらずに、忘れてしまった方がいいでしょう。

 

「怒り」というのは唐突にやって来る性質のものですから、忘れようとしていれば、ある時期が来たなら忘れられるのです。

 

「怒り」というのは、堅固なものではありません。常に存在する強いものではありませんから、「怒り」はやがてなくなっていくのです。自分の中で「怒り」がなくなれば、その議論を戦わせた相手を以前感じていたように感じられますし、以前と変わらずに接することができますね。

 

この逆に怒りが抑えきれない場合には、その相手が以前感じていたように感じられなくなってしまます。その相手は、かつて自分が知っていた人とは違う人のようになってしまいますね。

 

ですから、自分の内部にある「敵」は邪悪なものといえるのです。「敵」である煩悩は撃退すべきものです。したがって、「慈悲という軍隊で自信の心を制圧する、それが菩薩の実践である」のです。ここまでが、私たちが「怒り」を起こしやすい対象や、状況に対しての対抗手段について説いたものです。


以上の紹介内容は、すべて下記より引用しています。

【参考】
『ダライ・ラマ 生き方の探求』
ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ著 /春秋社 

 

画像については、書籍の内容を参考に作成したものです。
それ以外の追加情報については、参照元を個別に記載します。

 



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