脳を育てる
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脳を育てる

 

『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』デイヴィッド・J・リンデン (著)より「脳を育てる」ことに関連する部分を紹介しています。

 


以降の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。

【参考】

『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』

デイヴィッド・J・リンデン (著)

岩坂彰 (翻訳)

出版社: 河出書房新社 (2019/12/20)

 

画像はフリー素材を編集して作成しました。

 



◆第5話 脳を育てるのは自分自身 サム・ワン

 

赤ん坊の脳は、生まれた当初は情報の洪水を処理できるような適切な接続を備えていないわけだが、どのようにしてか、次第にこの洪水に意味を見出していく。

 

脳がこうした離れ業をやってのけられるのは、実は脳が主に自分で自分を形成しているからだ。多くの人は脳をコンピューターのようなものだと考えている。入力される情報を理解し、適切に反応するようプログラムされている、と。

 

しかし、このアナロジーは大間違いで、脳は箱から出してすぐに使えるようなものではない。脳を作り上げるには何年もの経験が必要なのだ。

 


◆第6話 子どもの脳と大人の脳との違いは エイミー・バスティアン

 

子どもの脳は何が特別なのだろうか。神経科学者に尋ねれば、ほぼ誰もがこう答えるだろう――「子どもの脳は可塑性が高い」。しかし、「可塑性」とは何か、何が脳に可塑性を与えるのか、なぜ大人になると可塑性が落ちるのかといった説明抜きでは、この答えもあまり役には立たない。ここでは可塑性を、簡単に「新たな経験の結果として脳が自身の接続と機能を変えていく能力」と定義しておこう。

 

脳の発達段階で可塑性を支えると思われる最も劇的な側面は、乳児期に神経接続が大量に増加することだ。2歳半の子どもの脳には、成人の脳の2倍もの神経接続がある。発達中の脳では、化学物質による信号が働いて正しい接続を導いたり、間違った接続を抑制したりしている。爆発的に増えた神経接続は、幼児期から思春期にかあけて刈り込まれ、最終的に成人のレベルに落ち着く。

 

増加時に作られた接続がそのまま残るか消えるかに大きく影響するのは、その接続が使われるかどうかだ。つまり、子どもの脳の発達にとって、経験の多様さや強度、種類が非常に重要になる。最も消えずに残りやすい神経接続は、子どもが身体を動かしたり、何かを聞いたり、見たり、考えたり、感じたりするときに使う接続だ。こうした行為をせずにいると、接続は弱まるか、消えてしまうだろう。

 


◆第7話 日々生まれ変わる10代の脳 リンダ・ウィルブレクト

 

思春期に入る頃の脳は、毎週シナプスの25%以上が育ち、また消えていくと考えられる。それが成人の脳になると、領域にもよるが、回転率は10%以下に落ちる。

 

ごく最近の実験からは、ニューロンが自分自身のいろいろな面を振り返っているらしいということもわかっている。つまり、前頭葉のシナプス結合の増加や剪定は、単に外界の出来事やその出来事の善し悪しを反映して起こるばかりでなく、自身が生み出した結果とその戦略もモニタリングしながら進んでいるようなのである。

 

「自分は今この世界で何をしようとしたのか」「それは自分にとっていいことか悪いことか」というわけだ。ここから、前頭葉の神経の刈り込みの形を決める際には、自己生成的な試行錯誤も役割を果たしていると考えられる。そのため、積極的に何かする場合と、ただ受動的に観察している場合とでは前頭葉の回路の形成が違ってくるだろう。

 


◆第11話 脳は変化に目を向ける インディラ・M・ラマン

 

たいていの人はふつう、何かの形で幸せを手にいれたいと願っているのではないだろうか。そして。正しい選択をしさえすれば満ち足りた暮らしへの道が見つかり、心地よさや満腹感や温かさ等々を手にしてずっと幸せでいられるだろうと思って行動することが多い。しかし快楽は、どれほどそそられる体験から得られたものであろうと移ろいやすく、いずれ退屈して、もっと新しいもの、もっと煽動的なものを求める気持ちが湧いてくるものだ。

 

私たちがものごとに気づけるのは、基本的にはこのイオンチャンネルのタンパク質の働きによる。ここで興味深いのは、これらのタンパク質はほぼすべて、刺激の変化に反応するということである。あまり強くない刺激が一定の強さで持続すると、多くのチャネルが文字通りシャットダウンしてしまい、イオンを通さなくなる。このプロセスを適応と呼ぶ(見方により脱感作または不活性化とも呼ぶ)。

 

変化は人生のスパイスと言われるが、それどころか、変化こそがすべてを感じさせているのである。では、新奇なものだけが重要で、馴染みの体験は味わえなくなったら捨て去るべきなのだろうか。それは全くの逆だ。思うに、それにこそ脳の働きに即した幸福へのカギがあるのではないだろうか。すでに知っている刺激を検出する能力は、通常、ほんの短い冷却期間の後に脱感作から回復し、その後はまた体験が強く感じられるようになる。

 


◆第24話 意識的行動も大部分は習慣 エイドリアン・M・ヘイス

 

「習慣」の定義として、「考えることなく行う行動」というだけでは科学的な探求のためには大ざっぱすぎる。そこで神経科学者はもっと正確で測定可能な定義を採用した。人間も動物も、行動には必ず目的があるという考え方に基づく定義だ。この目的を達成するためには、すべての判断、すべての行動選択がこの目的に近づくものであることが理想のはずだ。そうなっていれば、その行動が目的指向と言える。これに対して、目的がどうであっても選択する行動が変わらないとしたら、その行動が習慣的である。

 

習慣は柔軟に変えられないことが大きな欠点であることは確かだ。しかし、その欠点を補ってあまりある長所もある。一番の長所は、習慣的に行動すれば考えなくてもすむことだ。この長所は、行動が複雑になるととても大きな利点となりうる。現実世界の環境は予測可能で反復的なことが非常に多いため、習慣的行動の柔軟性の欠如が問題になることはあまりない。思考に縛られず、迅速に行動できることを考えれば、ごく稀に間違った行動を取ってしまう危険性など小さな代償にすぎないのだ。

 

私たちは新しい能力を学習し、習慣に組み込むと、次の能力の習得に向かい、さまざまなスキルの収蔵庫を作り上げる。これらのスキルは一瞬で取り出され、複雑な思考や行為がほぼ自動操作で動き出す仕組みだ。この巨大な習慣複合体の上に意識的な思考がほんのわずかだけ加わり、その場で下す必要のある最高レベルの判断だけを行っているのだ。習慣が存在しなければ、意識的な思考など、下すべき大量の判断にすぐに圧倒されてしまうだろう。

 


以上の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。

【参考】

『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』

デイヴィッド・J・リンデン (著)

岩坂彰 (翻訳)

出版社: 河出書房新社 (2019/12/20)

 

画像はフリー素材を編集して作成しました。

 



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