ゴッホとシニャック

更新日:2022/07/20 公開日:2022/07/19

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ゴッホとシニャック【心の声】
ゴッホとシニャック【心の声】

自然と人のダイアローグ

 

上野にある国立西洋美術館では、リニューアル記念に「自然と人のダイアローグ」という企画展を開催しています。カメラ撮影を許可している作品も多く、見応えのある企画でした。

 

詳細は下記にも紹介されています。

【美術館ナビ】ゴッホの《刈り入れ》など名作100点超 「国立西洋美術館 リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」展 6月4日開幕

 

ゴッホとシニャック

 

私が最も気に入った作品は、ゴッホ《刈り入れ》とポール・シニャック 《サン=トロペの港》でした。その2枚のポストカードを購入し、並べて額に飾ったほどです。「この2枚を並べて飾ることに意味がある」と感じたのですが、実際この作者二人には温かい親交があったことが後でわかりました。

 

ゴッホ《刈り入れ》

ゴッホ《刈り入れ》国立西洋美術館で撮影
ゴッホ《刈り入れ》国立西洋美術館で撮影

 

ゴッホの《刈り入れ》については、「ゴッホを生涯支えた弟テオ」に宛てた手紙の文章が壁面に書かれていました。

 

『僕はこの鎌で麦を刈る人の中に、——炎天下、自分の仕事をやり遂げようと悪魔のように戦う朦朧とした姿の中に——死のイメージを見ました。人間は刈り取られる麦のようだという意味です。しかし、この死の中には何ら悲哀はなく、それは純金の光を溢れさせる太陽とともに明るい光のなかで行われているのです。』

フィンセント・ファン・ゴッホからテオ・ファン・ゴッホへの手紙(1889年9月6日)

 

ポール・シニャック 《サン=トロペの港》

ポール・シニャック 《サン=トロペの港》国立西洋美術館で撮影
ポール・シニャック 《サン=トロペの港》国立西洋美術館で撮影

 

ポール・シニャックについては詳しく知らなかったのですが、この絵は心が温かく明るい気持ちになるようで、とても気に入りました。そして、ポール・シニャックについて調べてみたのです。すると驚きの説明を発見!

 

『シニャックは、理論家タイプで無口なスーラとは対照的に話し好きで陽気な性格であった。気難しい性格だったフィンセント・ファン・ゴッホとも争いを起こす事もなく、アルルでの共同生活には応じなかったもののゴーギャンとの衝突の末に片耳を切った事件の直後には見舞いにも行っている。』(引用:Wikipedia-ポール・シニャック

 

ゴッホ《ばら》

ゴッホ《刈り入れ》国立西洋美術館で撮影
ゴッホ《刈り入れ》国立西洋美術館で撮影

 

遠くからこの小さなバラの絵を見つけた時、生命の輝きのようなものを感じて近づいて見ると、ゴッホの作品だとわかり納得がいきました。

 

『花の季節にサン=レミの療養院に入院したゴッホは、この囲われた空間で心身を休めるように病室の窓からの眺めや療養院の庭の植物を描いた』と説明されていましたが、療養院での生活が心穏やかなものであったことが伝わってきます。

 

苦しんでいた知人の幸せ

 

学生時代にゴッホの人生について知ってからは、作品からも深い苦しみが圧倒的に伝わり、長い間「苦しんでいる知人」のように感じていました。

 

けれど、この企画展で金色に明るく輝くゴッホの《刈り入れ》を観て、人生の刈り入れ時である「死」に対して「明るい光」 を感じていたことを知りました。さらにゴッホの《ばら》を見つけ、療養院では生命の輝きに触れていたことを知り、じんわりと涙のもとになるような思いが込み上げてきました。

 

企画展で気に入ったゴッホとシニャックのポストカードを並べて飾ることは、意味があるように感じていました。シニャックの温かく明るい絵が、ゴッホを安心させるように感じたのです。ところが2枚の絵を額に飾った後調べると、実際二人の間には、温かい親交があったと知り、大変驚きました。

 

またシニャックが「気難しい性格だったフィンセント・ファン・ゴッホとも争いを起こす事もなく、アルルでの共同生活には応じなかったもののゴーギャンとの衝突の末に片耳を切った事件の直後には見舞いにも行っている」という説明を読み、シニャックの程よい思いやりを感じ、手を合わせたい気持ちになりました。

 

ゴッホの《刈り入れ》とシニャック 《サン=トロペの港》は両方とも、明るい光に照らされています。同じ地上から同じ太陽の光に照らされている異なる視点の2枚は、いずれも深い幸せが感じられるものですが、この2枚を並べると幸せが増幅するように感じられました。

 

こうして、今回の企画展のおかげで、私の記憶にあった「ゴッホの苦しみ」が癒されたような、長い間苦しんでいた知人の幸せな時間を感じることができたような、そんな安堵の気持ちを得ることができました。

 


人生の側面と変容

 

昔から日本人に人気のゴッホ展は、全国で様々な形で行われています。現在も各地で趣向をこらしたゴッホ展が目白押しです。スポットライトの当て方や意識の向け方、切り取り方で、ゴッホの色々な面を知ることができるのは興味深いです。

 

また、一人の人生を通して眺める時、プロセスの波がどのような形で変容していったのか知ることができるもの勉強になります。さらに時代や人生経験を経て、新しい気づきが加わるのも楽しみです。

 

色々な人生の側面と変容を感じることで、内なる多様性が新たな調和や統合に向かう、熟成のような感覚を得るのも味わい深いものだなあと、としみじみ思いました。

 


2022年7月19日公開

2022年7月20日更新


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